去年報酬改定したばかりの介護報酬。また値上がり?

令和元年10月1日に介護保険の報酬改定が行われます

介護報酬の改定は基本は3年に1回改訂されることが決まっています。

あれ?去年4月に介護報酬改定されたばかりじゃなかったっけ?

・・・そうです。

平成30年4月には診療報酬の改定と合わせたダブル改定が行われ、同時に介護保険法の改正も行われました

介護サービスに関してはプラス改定になるサービスが多く、報酬単価が上がるとともにサービス利用に伴う自己負担金も上がりますので、サービス利用者にとっては値上がりしたという方が多かったのではないでしょうか。

それなのにまだ一年半しかたっていないのに今年10月にはまた報酬改定とは。

これにはみなさんの生活に直接影響する消費税が大きくかかわっています。

消費税が上がると介護サービスの費用も上がる?

今年10月に消費税が増税されます。

軽減税率も導入されますが、それ以外の商品やサービス購入の際には間接税として10%の課税がかかります。

電卓で消費税の計算

でも、介護保険サービスは非課税のはずじゃないの?

でも、介護保険サービスの明細書を見ても、消費税ってどこにも書いていません。

消費税の項目があるのは、シャワーチェアやポータブルトイレを購入するときに使う特定福祉用具の購入や介護保険適用の住宅改修のときには明細書に消費税が書いてあった。けれど、訪問介護や通所介護などのサービスには消費税なんて書いてあったためしがない。

そうです、介護保険サービスは非課税なんです。

じゃあ、なんで値上がりするの?消費税関係ないじゃん!という厳しい声が聞こえてきそうですが、その理由を説明していきます。

介護サービス提供にかかるコスト

介護保険サービスを提供するにはコスト(費用)がかかります。

たとえば、デイサービスであれば送迎車両もそう、リハビリのための機器もそう。イスやテーブル、細かく言えばティッシュやトイレットペーパー、食器や洗剤もそう。レクリエーションに使う物品も。職員が使うユニフォームや名刺もデイサービスの会社が支給しています。

訪問看護のサービスであれば聴診器や血圧計、使い捨ての手袋などの消耗品でも事業所負担している場合があると思います。

つまり、介護保険サービス事業者は、10月に行われる消費増税によってコスト、つまり支出が増えてしまうのです。

ということで、この事業所負担を緩和するために、消費税増税のタイミングに合わせて介護保険の単価が上がります。

国の発表によると、改定率は0.39%のプラス改定となっています。

[blogcard url=”https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf”]

2019年度介護報酬の改定について

単価が上がるって、どれくらい?

単価が上がるっていうけど、どのくらい上がるの?といったら・・・ちょっとです。

たとえば、訪問介護で身体介護60分のサービス一回利用したとします。

そうすると、これまでであれば地域加算なしのその他地域の場合で、自己負担割合が1割であれば自己負担394円のところ、395円。その差1円です。

でも、これが一日複数回になると金額としても大きくなりますし、自己負担が3割負担であれば単純にその3倍です。

財布の中に一円玉

また、例えばサービスが一か月定額で提供されるサービスはどうでしょう。定期巡回随時対応型訪問介護看護のサービスは一か月自己負担一割の場合(その他地域)は29,441 円でしたが、報酬改定されると 29,512円となります。一か月71円の違いです。

消費税の増税による介護報酬改定は今回が初めてではなく、5%から8%に上がった平成26年にも同じような対応をしていました。

負担限度額はどうなる?

また、今回の報酬改定で単価が上がってしまうことで、心配なのが要介護度ごとの支給限度額ぎりぎりでサービスを利用している利用者さん。

介護保険では要介護度に応じて一か月にサービス利用できる限度額が決められています。限度額の範囲内であればその利用者の所得に応じて1割~3割の自己負担でサービスを利用できるのですが、その限度額を超えてしまうと全額自費でサービスの費用を事業所に支払わなければいけません。この限度額が区分支給限度額(区分支給限度基準額)です。

今回の消費増税に伴う報酬改定の影響で、今まで通りでサービスを利用していくと、限度額を超過してしまい、全額自己負担のサービス利用をしなければいけなくなるのでは?と心配される方も多いのでは。

支給限度額も引き上げ

そこで、区分支給限度額も引き上げられます

区分支給限度額の変更

区分支給限度額や報酬単価が変わると、ケアマネさんは混乱するんでしょうけれど・・・。

これ、前回の消費増税のときも同じような対応を行っています。

今回の報酬改定はそれ以外にも報酬の引き上げが

ということで、簡単にまとめます。

・介護報酬は本来三年に一回、単価の見直しが行われる(前回は昨年4月)

・消費税増税で事業所のコストが増加、対応するための報酬単価アップ

・増税分を埋めるための報酬改定なのでちょっとしか変わらないよ

・限度額オーバーしないように区分支給限度額も引き上げますよ。

というのが今回の報酬改定の内容になります。

でも、それ以外にも自己負担が増加する報酬改定があるんです。すべての事業所が算定できる加算ではないですが、算定される事業所のサービスの利用料金はかなり大きくなる可能性があります。

それが介護職員処遇改善加算

今回は特定処遇改善加算という名称がついていますが、具体的にはまた次回にお伝えしたいと思います。