負担限度額認定のハードルに預金の確認が!

先ほど介護保険の負担限度額認定について説明しましたが、
平成27年4月の法改正でこの制度が大きく変わりました。

まず、これまで負担限度額認定の対象となっていたのは、市民税が非課税の世帯
市民税の決定は、所得によって決まり、所得の多い順に、所得割・均等割・非課税と課税の種類が決められます。
このうちの非課税に該当する方が負担限度額認定を受け、施設利用時の食費や居住費を軽減することが出来ました。

ただ、所得自体は少なくても、もともと資産を多く持っているという方もいるため、
そこからも負担をできるだけしてもらおうという観点から、
市民税が非課税と言う条件に加え、以下のような資産の要件が加えられました。

①本人、本人が属する世帯の世帯員及び配偶者(※1)が市町村⺠税非課税
本人及び配偶者の預貯金等(※2)の資産の額の合計が2,000万円以下
(配偶者がいない場合は、本人の預貯金等の資産の額が1,000万円以下

 ※1・・・配偶者が、住⺠基本台帳上、別世帯の場合でも含めます。
 ※2・・・預貯金(普通・定期)や有価証券等をいいます。主な例は下表のとおりです。

・預貯金(普通・定期):すべての口座の表紙及び最終記帳ページ等、口座名義及び残高の確認ができる書類
 (最後に記帳してから2か月以内のもの)
・現金 :―
・有価証券(株式・国債・地方債・社債等) :証券会社や銀行の口座残高の写し等
・金・銀(積立購入を含む)等、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属: 購入先の銀行等の口座残高の写し等
・投資信託:銀行、信託会社、証券会社等の口座残高の写し等
・負債(住宅ローン等) :残高証明書等

さて、預貯金等の中にはタンス預金している現金も含まれています。
なんだか、国税が差し押さえにでも来たのかという勢いですね。
これらの資産を示す資料などが提出できない場合、この限度額認定を受けることが出来ません

しかし、実際問題。この要件に間違いなく該当している方でも、
通帳がどこにあるのか紛失してしまった、とか、
どこにどのくらい預金があるのか誰も把握ができていない、とか、
認知症の独居など、確認する資料を準備することが出来ない方も多いわけです。
それでも、行政はそれを提出しろと突っぱねます。

実際の事例ですが、
これまでも負担限度額の認定を受けていた方で、子どもとの二人暮らしでした。
その子どもが急病で入院。
本人は緊急的にショートステイ入所。
負担限度額の認定更新をしようとするも、通帳などがどこにあるのかわからず、資料の用意ができない。
それを保険者に相談すると、回答は以下のようなものでした。

「通帳の写しがない限り、負担限度額認定申請を受け付けることはできません。」

はっきり言って、必要な人が必要なサービスを使えない状況が起きるわけです。

この制度改正、やはりマイナンバー制度とセットで行うべきだったはずです。
マイナンバー制度については情報セキュリティの問題で、まだまだ改善しなければいけない状況です。

だとしたら、負担限度額の制度変更もマイナンバー制度に合わせることが筋だと思うのですが、いかがでしょう。