身元保証人:入院時、必要2割 介護入所は3割 民間調査

全国の病院の2割、介護施設の3割が「身元保証人」を入院や入所の必要条件としていることが、民間団体の調査で分かった。頼める相手がおらず、必要な医療や介護を受けられない単身者や高齢者が現実に出ており、個人の身元保証に代わる新たな仕組みを設ける必要性が浮かんだ。

 病院や介護施設が身元保証人を求めるのは長年の慣習だが、法律上明確な根拠はない。これにより一部の利用者が排除されかねないとの指摘は以前からあったが、詳しい実態が明らかになるのは初めて。調査は、認知症の高齢者や障害者の成年後見人を務める司法書士の全国組織「成年後見センター・リーガルサポート」が実施。全国1521の病院と介護施設に聞き、603(病院97、介護施設506)から回答を得た。

 それによると、「入院・入所時に身元保証人を求める」との回答は病院で95.9%、介護施設で91.3%を占め、ほぼ例外なく要求される現実がある。さらに、身元保証人を必要条件とし、「立てられない場合は利用を認めない」としたのは、病院で22.6%、介護施設で30.7%に上った。

 保証人が見つからない場合、6割前後の病院・介護施設が「成年後見人に身元保証を求める」とした。だが、後見人が入院費や利用料を肩代わりすると、利用者を支援する立場にありながら債務の返済を求める矛盾した関係となる。リーガルサポートは、成年後見人が身元保証人となることを「避けるべきだ」とし、ほぼ全ての病院・介護施設が「公的機関による保証が必要だ」と回答した。

 身元保証人を立てられず入院・入所を断られるケースは実際に起きている。

 「保証人代行問題被害者の会」に寄せられた相談には、病院に入院する際に身元保証人を確保できなかった患者が、インターネットで見つけた保証人紹介業者に高額の利用料を支払ったのに保証人の紹介を受けられなかった事例がある。

 また、浜松市の榛葉(しんば)隆雄司法書士によると、知人の30代男性は皮膚科で日帰りの手術を受ける際、身元保証人を求められた。検査後、男性が「見つからないので手術は別の病院で受ける」と伝えると、検査データの提供を拒まれ、検査料を請求されたという。

身元保証という大きな問題があります。
成年後見という制度がありますが、成年後見人は意思表示のできなかったりそこに問題がある本人の代弁者であって、身元保証をするという立場ではありません。
そのため、成年後見人ではなく、別に身元保証人を立てなければいけないという問題が発生することもあります。
ただ、身元保証を立てることに法的な義務はなく、
病院や施設側としてはきちんと財産管理が行われている状況にあれば、
立場が身元保証人でなくても、契約などはできます。
署名欄にある身元保証人という記述を二重線で消して、成年後見人がついているのであれば成年後見人と記載することで、入所などの契約ができる場合もあります。

身元保証ビジネスが隆盛ですが、
身元保証人を立てるのに200万円近くかかってしまうこともあります。
本当にそれだけの価値のあるものなのか、きちんと検討してみることも必要です。